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歌舞伎は意外と安い

 なんとなく高そうなイメージのある歌舞伎。

 実は千円くらいで観られることをご存知だろうか。といっても歌舞伎座(東京の東銀座にあるよ)に限った話ではあるのだが、なんといっても歌舞伎の総本山的存在でもある場所で、ちょっとお高めなランチくらいの値段で観れてしまうのだ。ヘタすると千円いかないときもある。

 ひとはそれを"幕見席"という……

"幕見席"

 なんだそれはという方が大半なのではないだろうか。歌舞伎にちょっと興味がある、でもなんか敷居高そうだし、なにより高そうだし、という方はこの幕見席をおすすめしたい。

 大体歌舞伎は、一度に2つか3つくらいの演目をやることが多い。1つ目はシンデレラがビビデバビデブーされたあと、かぼちゃの馬車に乗ってお城に向かうところをやって、2つ目は狼に食われた赤ずきんが無事腹から出てくるところをやるとか、そんな感じだ。

 なんでそこだけ? とお思いの方もいらっしゃると思うので補足しておくと、歌舞伎というのは、例えばシンデレラでいうと
「大序(序幕)」色々あって継母たちに苛められてるよ~。
「二段目」ネズミたちがドレス作ってくれたけど破かれちゃったよ~。
「三段目」舞踏会楽しかったけどガラスの靴を置いてきちゃったよ~。
「四段目」王子さまと無事結ばれたよ~。
というふうに1つの物語がいくつか分かれていたりするのだ。一回で全部をやるのは長すぎるので、人気なところだけをやったりする。全部通してやる、ということはあんまりない。

 そんな感じにやっているので、まあ別にシンデレラ見たいけど赤ずきんはいいや、ということもある。演じる役者も同じではないので、誰それの役者はシンデレラには出てるけど赤ずきんには出てないしいいや、とかもある。そのためにあるのがお待ちかね"幕見席"というわけだ。

 歌舞伎座の公演は昼の部、夜の部と分かれていて(三部構成のときもあるけれど)、行きたい日に、前もって、例えば15日昼の部のチケットを購入すれば、その日の昼の部は全ての演目を見ることができる。が、やっぱり高い。1階席なんて1万円するし庶民の娯楽にしては高すぎる。

 でも幕見席は、その昼の部の中の、観たい演目だけを観る席なので、安いのだ。あと舞台からめっちゃ遠い。基本的に役者は米。双眼鏡ないとちょっとつらい。それでも声はマイクなんて使ってないのに、ガンガン飛んでくるので歌舞伎役者はすごいなあと思う。

 というわけで幕見席は安くてありがたいのだけれど、代わりに当日券の販売しかしていないので、確実に観に行けるとは限らないのが難点だ。やる演目は月毎に変わるのだが、月末になってくると幕見席販売開始時点で売り切れてたりすることもある。まあ中旬くらいまでだったら結構空いてるので気にするほどではない。

 しかし意外とこの幕見席が知られていないのはつくづく松竹の怠慢だと思う。そりゃ1階席のお客さんが大事というのは分かるけれども、私だっていつかは下界に降りたいのだ。

 そう、幕見ではなくチケットを買って観ることを、「下界に降りる」という。しかし下界に降りるには金がいる。だが幕見なら同じ値段でたくさん観ることができるのだ。ドレスコードもそこまで気にする席ではないから、仲のいいお友だちと遊びに行くぐらいの恰好で構わない。何はともあれ興味のある方は一度足を運んでみるといいだろう。受付の方々がやさしく色々教えてくれるはずだ。